海の上のピアニスト

海の上で生まれ、一度も陸に降りることのなかった 天才ピアニストの伝説



作曲/ピアノ  稲本響

海の上で生まれて育った一人の男。
限りない才能を持ちながら、一度も船を降りることが無かった天才ピアニストの生涯。
稲本響さんのによるオリジナルピアノにのせて、市村正親さんが

2002年夏に初上演され、好評を得て2003年夏に再上演されました。
 第10回読売演劇大賞優秀男優賞受賞! 市村正親さん。



このCDの解説は、響くん自身が書いているんですけど、それを読むだけで
音楽へのひたむきな取り組みが伝わってきて感動してしまいました。

作曲をするため、まずノヴェチェントの気持ちになろう!と豪華客船へ乗り込み
真っ暗の中でピアノを弾いてみたり、
夜中・嵐の中(警備員の目を盗んで)最上階のデッキへ行って自分の目で 『 海 』を確かめたり
(写真撮ったけど真っ暗だったそうです・・・笑)

何故ノヴェチェントが船から降りなかったのか?・・いや、降りられなかったか? を感じるために
何度も何度もタラップを行ったり来たりしたそうな・・・。
一段目・二段目・三段目・・・・ってね(笑)
そういった取り組みこそが、このすばらしい名曲たちを生み出したんですよ!!!


最後の一言。 『ドミソ』 の和音だけで自分の思いを伝えたい!!という夢。


ピアノって誰が弾いても 『ド』 を叩けば 『ド』 の音がするでしょ?
たとえばそれが、ヴァイオリンだったら、『ギー』 としか鳴らないし
フルートだったら 『スー』 としか聞こえないんですよね。。。
初心者でも鳴らせるピアノと言う楽器。
だけど、いや、だからこそ 自分を伝えるのが一番難しい楽器かも知れない。
って、管理人は思ったりします。。。

本当に、すごい名盤なのですが完売で手に入りません。
是非是非、また売って欲しいです!!
たくさんの人に聴いてもらいたい。。。


稲本響 さんの CD 紹介は コチラ

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「ストーリー」



↑これは、映画のサントラCDです。


一人の トランペットを抱えた男がつぶやく。
「ああいう真の友達は、二度と出来ない。」 ・・・・ と。

トランペットを売りに楽器店へ来たマックス。名残惜しみ 「最後に一曲吹かせてくれ!」
と店主に頼み、吹きはじめた曲が、なんと、
店主が買ったピアノから出てきて割れたレコードをくっつけたものと同じ曲だったのだ。
「このピアニストは誰?」 店主に聞かれたトランペッターのマックスは
誰も知らない、この世に戸籍が無いまま死んでいったピアニストの思い出を、話しだした。

時は1900年。
ある日豪華客船ヴァージニアン号のダンスホールのピアノの上に、生まれたばかりの赤ちゃんが捨てられていた。
黒人機関士のダニーは、その子に 『ダニー・ブートマン・T・D レモン ナインティーハンドレッド(1900)』 と
すごく長い名前を付けて自分の子として育てることにした。
 船の上がゆりかごのように育てられて行き、ドンドン成長していった。
しかし、1900が8歳の時にダニーは事故で死んでしまった。
1900は、船の外の世界では存在しなかった。戸籍も無く 誕生日も無く 家族も居ない。。。

一等の乗客たちがおどっているピアノを聴いて、いつの間にかピアノが弾けてしまって皆を驚かせた1900。
「ダンスホールに出てくるなんて規則違反だぞ。」と 言われたのに対し 
「規則なんてクソ食らえ!!」 と1900は言う (笑)

トランペッターのマックスは、演奏者として乗船することとなって1900と出会う。 
船酔い激しいマックスに1900は、ピアノの足の固定をはずして
一緒にピアノに座って船の中を 演奏しながら、気持ち良さそうに揺れ動く。
生まれてからずっとゆりかごのように育ってきた波は、1900にとって何て事無かったんだね。
このピアノに乗って船の中をスケートみたいにすべり回るシーンが、私は大好きです☆
気持ちよく揺れ動いて、最後には ガチャーーーン!!ってやっちゃうんだけどね・・・(汗)
こうしてドンドン成長し27歳になった。いつも、1900のピアノは乗客たちを幸せにさせた。
彼は一度も陸を知らないが 実は色んな世界を見てきたんだね。
船の中から。きっと。。。

「陸へ降りて ピアニストになればお金も稼げる!!一度でいい降りてみないか?」
マックスに言われたが・・・・
「なぜ? なぜ? なせ? なぜ? 陸の人間は、なぜばかり・・・・僕は、そんなのごめんだよ。」 
って 1900はつぶやく。 (笑) 

人生は無限なんだ!! いつも即興演奏でヒートアップしていく1900に、
「いったい どこから音楽がわくんだ?」ってマックスが聞くと 
あの人はこんな感じ・・・・あの人は・・・って次々と曲を作り出してしまう。 
1900が「あの男の曲」と言って その男の歩き方をピアノで弾いたのは、
すごくぴったりで爆笑しちゃったよ。私・・・。

ある日、バンドマン ピアニストが 「ジャズの決闘だ〜!!!」って やって来た。
そのピアニストの歯に、ダイヤがキラッ☆って 光った時も 笑った〜!! センス悪っ・・・。
しかし、バンドマンのピアノはすばらしかった。
 はじめ1900は、ふざけて同じ曲を真似して弾いたりしていたが 次第にエキサイトしていって・・・。
「後悔させてやる!!!!!」 って弾き出したのです。
そりゃものすごいのなんのって。
その時の映像は 手がいくつも出てきてビデオの早送り画像みたいになってた(爆)
で、誰もが目がマンマル。 口はポカン。 すごかった。
弾き終わった時、ピアノの弦に触れたタバコに火がついちゃったんだ! ビックリしたね。
決闘は 勝った!!!

ある日、1900は 船の中で 録音をすることになった。 そのとき1900は一人の窓の外の女性に恋をした。
そして優しいメロディーが生まれました。いいレコードが出来たのに1900は「これは、僕の音楽だ!」って
レコードを取り上げてしまった。恋をした女性にレコードを渡そうとするが、渡せなかった。
そしてそのレコードを割って、捨てちゃいました。
(実は、それをマックスがピアノの中に隠して、
ピアノを買い取った店主の手元にレコードがあった!って訳だった。)


一度
 『人生は無限だ!』 という 海の声を聞いてみたい!陸から海を見てみたい!!
 1900は 陸に降りようと試みた。 が、、、、降りられなかった。
タラップの途中から見える景色。。。1900にはどう映ったのだろうか?
こうしてまた、船上の生活を続けるのであった。

この船は、もうすぐ爆破される。 

何とか1900を探し出して船から降ろさせようとマックスは、例のレコードを船の中で聞かせる。
すると、1900は 居ました。 やはり船の中に。。。
「降りよう!」 と言うマックス 「人生捨てたもんじゃない。一緒に陸で音楽をしよう!!」と。
それに対し、1900は、 
「降りることは平気だ。問題は目に映ったものではない。目に映らなかったものなんだ。 」 と・・・・。
「巨大な都会の中には終わりが無いんだ。 行き着く先がわからないんだ・・・。」

ピアノは違う! 鍵盤は88鍵 と決まっている。 

ピアノは 無限ではない。弾く人間が無限なんだ!!!
人間の奏でる音楽が無限なんだ!!!

1900にとって、 タラップに広がっていたのは 何千何億にも続く 鍵盤に見えたんだね。
陸には、人間が弾ける音楽は無い。
船の中で生まれたんだから、船の中で死ぬ。
それが僕の生き方。
僕は船を降りられない。 だから僕は人生を降りるしかないんだ。

そうして、たった一人の心友に別れを告げた。
「天国へ行っても 僕の名前は名簿に無いね。」 なんてジョーダンを飛ばしながら・・・。

海の上で生まれ、海の上で死んでいった
一度も陸へ降りることをしなかった天才ピアニスト1900の伝説・・・・。




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