道化師 *
あらすじ

********** プロローグ *********


道化師の衣装を着た
トニオが現われる。

「道化師の衣装を着ていても 皆さんと同じ1人の人間です。
皮膚の下には肉も骨もあります。血も流れています。呼吸もしています。
舞台での涙は、真実の事です。」


などと、意味深な事を言っている。

************************ 第一幕 *********************

19世紀中頃 南イタリア 
道化師の旅回り一座が、村へやって来た。
「今日の夜7時に劇が始まりますよ〜。皆さん観に来てくださ〜い!」
カニオ
は太鼓を叩きながら村の集まってくる人たちに宣伝する。

カニオは、妻ネッダを見つめるトニオを突き飛ばす。
嫉妬心から突き飛ばしたのだが、村の皆は
それも、道化芝居だと思って大笑い。

教会の鐘が鳴り、村人達は歌いながら家に帰る。
カニオは、飲みに誘われて出かけたので、芝居小屋にはネッダ1人になる。
鳥のように自由になりたい〜。と歌う
ネッダ

そこへ、
カニオの留守を見計らってトニオネッダに言い寄るが
ネッダは激しく拒否。
トニオは悔しさのあまり、復習してやる〜!と言いながら去っていく。

入れ替わりに、村の青年
シルヴィオがやって来た。
ネッダシルヴィオは愛人関係で、自由になりたいネッダ
「今夜二人で駆け落ちしよう!!」と誓う。
誰かに見られたら大変だわ。と言いながらも二人は愛し合う。

「今夜から永遠に、私はあなたのものよ。」

そこへ、さっきふられた腹いせに
トニオネッダの夫カニオを連れてもどって来た。
「逃げて〜。」
カニオは追いかけたが、見失ってしまった。妻の浮気相手が誰かは不明のまま。
混乱状態。

「今の男は、誰なんだ!!言え!!!」

ネッダ
をつかみ、白状させようとするカニオ
劇団員の
ペッペが、「もう、芝居が始まる時間です。」
必死でなだめる。

開演時間が近づく。
妻の裏切り。悲しみ。深い絶望感。
しかし。劇団長としての誇り。芝居を始めなければ・・・・。
俺は道化師だ。こんな状態だけれど芝居をしなくては・・・。
絶望感いっぱいのアリア 「衣装をつけろ。」 を歌い、泣き崩れる。



============
間奏曲 ==========


******************************* 第二幕 *****************************


超満席。
観客は、どうしたんだ?まだ始まらないのか?
もう7時過ぎたぞ!!まだかまだかと騒いでいる。
いよいよ開演。 

どうにか気持ちをおさえた
カニオも芝居を始める。

夫の道化師が留守中に、アルレッキーノと浮気をするコロンビーナ

夫の
カニオが留守中に、駆け落ちの約束をしていたネッダ

カニオ
の中で現実と芝居が分からなくなっていく。混乱状態。

「今夜から永遠に、私はあなたのものよ。」

さっきの浮気現場と芝居の言葉が一致して
カニオの心は、ズタズタ。
自分の気持ちをおさえて芝居を続けようとするが
もうだめ。我慢できない。

コロンビーナ(ネッダ)
「道化師。道化師。」・・・と芝居を続けようとするが、もう、時すでに遅し。

「おれは、パリアッチョなんかじゃな〜い!!!」

「こじきの貴様を拾い上げ、飢え死にしかかっていたのを助けてやったんだ。
俺は、神を信じる以上にお前を信じていたんだ〜!!」


観客は、あまりの二人の芝居の迫力さに歓声をあげるが・・・・・

コロンビーナ(ネッダ) 「恥ずべき女なら、追い出せばいいわ。」
道化師(カニオ) 「愛人と逃げようとしたって、そうはさせないぞ!」
コロンビーナ(ネッダ) 「あんたの怒りよりも、愛の方が強いのよ!」

「言え!お前の愛人の名前を!!誰なんだ!!!」


ネッダにふられた腹いせ。
ひそかに
カニオにナイフを手渡す
トニオ

あまりの迫力さに、観客達も異常だと気が付いて騒ぎ出す。

「言わないわ!死んだって言わないわ!!」

ナイフを持っておそい掛かる
カニオは、とうとう・・・・・
観客の方に逃げた
ネッダを刺した。

シルヴィオ〜!!」・・・ネッダが最後に叫んだ。
ネッダ〜!!」・・・客席から シルヴィオが駆け寄る。
そして、
シルヴィオも刺された。

「喜劇は終わりました。」

カニオ
は、我に帰ってナイフを落とし
呆然と立ちすくみ、殺してしまった
ネッダを抱いて泣き崩れる。